「今の話、わざと?」
「ああ。名前への不満は本物だが、それを今したのは、わざとだ」
吟子は、勝ち誇ったように言った。
「それで、俺に何の用?」
一樹が尋ねると、
「まあ、そう焦るな。それより、のどが渇いた。
何か買ってくれないか? 小銭ならある」
「何を?」
「お茶以外」
「そう言われても、色々あるけど……」
「例えばどんな?」
「青汁とか」
「却下。いちご牛乳を所望する」
「最初からそう言ってくれ」
一樹は、自動販売機に紙幣を投入した。
取り出したいちご牛乳を、吟子に投げる。
車椅子でも、反射神経は衰えていないらしい。
吟子も、きれいに空中でキャッチする。
一樹は自分には緑茶を買い、飲みながら近くのベンチに腰を下ろした。



