信じられないくらい、実感が湧かなかった。

人を殺したというのに。

つい十数分前まで、他愛ない会話をしていたのに。
 

自分は、変な人間だなと倉本は思った。

記憶の操作も、洗脳も受けていない。

それなのに、自分はどうしてこんなにも歪んでいるのだろう。
 

どうしてこんなにも、CPGに近いものを感じてしまっているのだろう……。
 




まあ、いっか。

 
倉本は、プログラム関係のデータの入ったメモリースティックをパソコンから外して、

代わりに違うメモリースティックを差し込んだ。

そのスティックには、彼が作ったウィルスが入っていた。

この部屋の全てのパソコンをウィルスに感染させてから、倉本は白衣を脱いだ。

それから首から提げた自分のネームプレートをゴミ箱に捨てて、


白衣を足元の死体に被せてやった。