「これ。吉野から」
一樹は、そのまま晴喜の手を取ると、掌にラップの包みをぽんと乗せた。
自分の手の中では少なく見えたその手土産は、晴喜の手の上ではとても大きく見えた。
「何これ」
晴喜は、怪訝そうに尋ねた。
「お前が、吉野と作るはずだったもの」
「あ」
晴喜は、口元を押さえて言った。
「やあね。最近忘れっぽくて。彼女怒ってなかったかしら」
「怒ってなかったけど、心配してた」
「悪い事したわね……」
「……それだけか?」
一樹のふとした問いに、晴喜は眉をひそめた。
「ええ……。だって、それ以外に何がある?」
晴喜は、一樹の発言にかちんときたようだった。
すぐに一樹は訂正した。
「いや、そういう意味じゃなくて……」
しかし、言いかけて、それ以上の言葉が続かなかった。
言うのか?
本人に面と向かって、最近様子がおかしいけどどうかしたのか、と。
答えるとでも思うのか?
警戒心の強い晴喜が……。
「やっぱり、何でもない……」



