一樹は、まだほんのりと温かいお菓子を携えて、寮に向かった。
晴喜は、どうして来なかったのだろう。
答えは、三階の通路に差し掛かってすぐに分かった。
あと数歩で晴喜の部屋の前に着く、というところで、急にそのドアは開いた。
出てきたのは、光だった。
見送るつもりなのか、晴喜がわざわざ玄関まで顔を出していた。
……あれ、こいつらめちゃくちゃ仲が悪くなかったっけ。
「……げ、いっちゃん、何でここに」
光は、一樹の顔を見るなり慌てだした。
まるで、不倫現場を夫に見付かった間男さながらに。
一樹は、二人の様子をまじまじと観察して、
彼等がどこも怪我していないのを確認してから、
(最初、光が晴喜の部屋にいるのは、彼女を部屋まで直々に殴り込みに来たから、くらいしか考えられなかった)
一つの結論に至った。
「………ゆう?」



