香ばしく焼き上がったケーキを「食べなさい」と言われたままに仕方なく口に運びながら、
結構おいしいな、と顔が綻んだところで、晴喜の事を思い出して、
一樹は再びいつもの無表情になった。
結局、晴喜は来なかった。
「昼寝でもしてるのかしら」
吉野はそう首を傾げたが、一樹は違う気がした。
さっさとケーキを平らげて、厨房に背を向ける。
「あれ、どこ行くの」
隣でのろのろとケーキを咀嚼していた秀が、顔を上げた。
「帰る」
「早くね?」
「じゃあ散歩」
「どっちだよ」
「どっちでもいいだろ。じゃあな」
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