「別の場所に移るからだって……そうなると、
何故か白衣の大人達は、嬉しそうだった。
口々に『成功だ』と言い合っていた。
その時は、まるで意味が分からなかったわ。
だって、その時の晴喜はただ、毎日を怯えながら過ごしていただけだもの。
いじめられる事にも、殴られる事にも慣れて、諦める事しか知らなかった。
……だけどその実、ずっと自分自身を怖がっていた。
自分が母親を殺した事を、覚えていたのよ。
だから、二度とそんな事は繰り返すまいと……
湧き上がる憎悪を全て押さえつけるように、耐えて耐えて耐え抜いた。
……晴喜の、あそこでの暮らしが終わったのは、職員が事故で焼死してからよ。
それも、晴喜がやった事になった」



