事故を、装おうとしたらしい。
彼は実弾の入った拳銃を、幼い晴喜に与えて、こう言ったのだ。
「『これで、ママを驚かせてやろう。
大丈夫だよ。
だってこれはよく出来た、玩具なんだから……』」
「………」
二人の仲が悪い事は、子供でも敏感に感じ取ってた。
だから、久し振りに見た父親の笑顔に、晴喜はすっかり騙されたのだ。
それまでも、ちょっとした悪戯を、
父親が母親に仕掛けるのは、しょっちゅうだった。
むしろ、それが幸せな時期の特徴でもあった。
だから晴喜はそれを信じて、喜び勇んで銃口を母親に向けたのだ。



