しかし、簡単に避けられてしまう。 だが手錠の鎖が、偶然にも彼の目元に直撃した。 その一瞬の隙に、晴喜は窓辺に駆けた。 これは賭けだった。 失敗すれば、ただの無意味な体当たりで終わってしまう。 あるいはそのまま……。 窓を塞いでいた板は、晴喜が思っていた以上に朽ちかけていた。 晴喜はそのまま、窓の外へと擦り抜けた。 落ちる時に、青年が驚いた瞳を大きく開き、 手を伸ばそうとしているのが見えた。