「……はあっ……はっ……くそっ」 ――何なのよ、これ……。 もう、それ以上歩けなかった。 何で私は、『知って』るの……? 晴喜は、頭を抱えて廊下に倒れた。 建物は廃墟であるはずだった。 埃まみれで、所々脆くなった廃屋。 打ち棄てられて、必要とされるべき機能を果たせなくなった、建築物のなれの果て。 それなのに、どうしてこんなにも『怖い事』が、 鮮明に蘇ってくるんだろう……。