「……宮本一樹」 一樹は以前、 「お前の名前だ」 と教えられた名前を名乗った。 (一樹は自分の名前には、 ただ便宜上あればいいという程度の認識しかなく、 それで構わなかった) 一方幸枝は、自分の名前は幸せを枝のように、 他人に分けられる子になれという意味で親が付けたのだと言った。 淀みなく喋り、その口上がとても慣れているようだったので、 一樹はそれが他人に名前を名乗った時に、 彼女が必ず言う事なのだろうと密かに思った。