考え事をしているうちに、無事にマンションに辿り着いた。 しかし自動ドアが開いた時、一樹はふと足を止めた。 足元に滑らかな音を立てて、 まだ下部が緑色のリンゴが一つ転がって来た。 誰のだろう、と思うより先に面倒事に関わりたくない意識が働いて、 彼はリンゴに気付かない振りをしたが、 「あ、すいません!」 前から小走りで来た若い女性に言われた。 リンゴの落とし主は、どうやら彼女らしい。