一樹はいつも、 執行に時間をかけない。 でも中には、何十分も時間をかけて、 拷問に近いやり方を選ぶ執行史もいる。 それを善く思わない一樹は、 囚人とはいえどうせ死ななければならないのなら、 せめて一瞬で苦しまずに済ませてやりたいと思っていた。 いくらそれが世間的に罪を犯した人間だとしても、 直接被害に遭っていない一樹にしてみれば、 憎いとか悪を滅ぼすとかそういった感情が起こるはずも無く、 死刑囚というのはただ自分に殺される、 哀れな一人の人間に過ぎなかった。