別に一樹は、とりわけ彼女が好きだったわけではなかった。 だが、死なれたくはなかった。 幸枝はこれからもっと、いくらでも幸せになれたはずだったから。 それに、一番大きかったのは……もう二度と、 『あの光景を見たくなかった』と、思ってしまった事……。 「何が何だか……くそ、人の頭弄くり回して、ややっこしい事しやがって」