ごう、っと風が吹いた。 低く柔らかい、地鳴りのような風の音が、 耳の内側に当たる。 一樹は、髪が顔にかかったのをざっと手で払った。 その時不意に、火薬の焼けた独特の匂いが鼻を掠めた。 手に付いた硝煙―― さっき確かに人を殺したという証だ。 もう手に染み付いたような気がしていたが、 さすがに時間が経っていない時の方が、 断然匂いも強い。