カラカラライフリズム

そのうちの一人が、人形に魅せられてしまったのだ。
あの状況は、そう言っていいと思った。


物と人が惹かれ合う瞬間を、その時樋口は初めて見た。


彼は、ある人形を見た途端棒立ちになり、
やがてぽろぽろと涙をこぼした。

人形は着物を着せられ目を閉じた少女で、
壁に力無く体を預けていた。

職務について以来、彼の涙を見るのは初めてだったし、
何よりも驚きが勝った。

プロの人形展だって、こんな事は無いんじゃないのか……?


彼は治まると、当然ながらにその人形を所望した。