一樹は、ボストンバックを床に下して、部屋のカーテンを閉めた。


「じゃ、これは俺からの引っ越し祝いだ。じゃあな」


「って、え?」


樋口は、紙袋を下ろすと出て行った。


ドアが閉まるなり、紙袋に興味を示した光が、


「これ開けていい?」


と尋ねた。


「駄目だ。ていうか、今のタイミングでお前も一緒に出てけよ」


「やーだよ、だって暇だし。いいじゃん」


光は、断り無く包み紙を破いた。

傍若無人にも程があったが、
こちらが何を言おうと、
方向違いで自分勝手な答えが返って来るのは明白だったので、
面倒臭くなった。

中身は箱だった。