「樋口!……は、やく…!」 だが、それでも樋口は動かない。 一樹は自分の足に躓いて転んだ。 でもまたすぐに起き上がり無理矢理立って、 それを繰り返す。 彼女は、空がある方向を向いている。 一樹は動かない体に苛立ちながら、 それでも必死にベランダに近付いた。 幸枝は虚ろな目で一度一樹に振り返り、 だがすぐに視線を戻した。