同時に、彼女の体からも力が抜けた。 一樹は、無意識に手を緩めてしまった。 幸枝が、それを待っていたとばかりに急に、 強い力で一樹を撥ね退け、 ゆらりと立ち上がった。 樋口は何が起こったのか分からず、 警戒して銃を構えてはいたが、 幸枝はそちらへ――玄関側に向かおうとはしなかった。