「こんなの…反則じゃない。 引き出したデータに無かったわよ…」 「当たり前だ。 この事は、執行庁の中でも一部の人間しか知らない」 「畜生…畜生畜生畜生!」 幸枝は行き場の無くなった拳で、床をどんっと叩いた。 その瞬間、幸枝の動きが停止した。 ―――すぅっ…? ふと、幸枝の表情が変わる。 目をぐいっと見開き、 その焦点は定まらない。 そして今まで怒りに顔を歪めていたにも関わらず、 何の感情も浮かべていない。 奇妙なほど、澄ました顔。