そこは日の光が微かに届く海底。
洞窟は大きなクジラが口を開けている様に、
海底に一箇所だけ大きな闇を
作りだして居ました。
魚達は洞窟の手前まで来ました。
すると
もの凄い海流に流され、あっと言う間に
洞窟の中に引きずり込まれてしまいました。
二匹は海流の弱い場所になんとか身を潜める事が出来ました。
だけれど、洞窟からは出られそうにありません。
魚は辺りを見回して必死で考えました。
逃げ出さないと死んでしまう。
その時、洞窟の天井に小さな穴を見つけました。
その穴からは微かに光が差し込み、洞窟の外が見えています。
しかし、その穴は魚達より半分位の大きさしかなく、
少しちいさな恋人でも無理して行けば
狭い穴に挟まって身動きが
出来なくなりそうでした。
魚は考えて、考えて、決めました。
恋人に言いました。
「僕が穴を広げて道を作るから、君は僕が良いよって言ったら穴から外に出ろ」
恋人は言いました。
「あなたは」
魚は言いました。
「僕が道を作るんだから、
穴の外で僕は君を待ってるよ」
恋人は納得しました。
魚は恋人に伝えました。
「僕はずっと君と一緒だよ。
君は虹の様に美しい。
愛してる」
二匹はお互いの愛を確かめました。