重力ハンマーは発射の瞬間、雅に大きな反動負荷がかかる。

 そのため、通常はアンカーを打って機体を安定させる。

 この手順を飛ばしてハンマーを撃てば、雅は明後日の方向に弾き飛ばされることになる。

 それを防ぐためには、発射の瞬間に機体各部のスラスターを駆使して反動を打ち消さなくてはならない。

 ただでさえ大気圏離脱で不安定な状態で、さらに制動もなしで隕石を撃墜するなど至難の技だ。

「初出撃で、そんな曲芸やれなんてなあ…」

 ぶつぶつ言いながら、一孝は発進に備える。

『発進カウントダウン開始。5…4…3…』

 カタパルト上部のシールドが開き、ガイドランプが点灯していく。

『2…1…雅、発進!』

 フューリーのコールと共に、雅が発射筒の中を上昇する。

 ゴオオオォォォッ!

 ゼロ加速をかけた雅は一瞬で、ホムラからは見えなくなる。