モノクロ

「無理してるような気がするから、って言わなかったっけ？　俺」

「言った、けど……」

「無理やりヤる趣味、ないし」


「あと……」

「まだあんの？」

少し呆れたように笑った。

だって、せっかくだから全部、聞いときたい。


「うさぎ」

「うさぎ？」

「どうしてくれたの？」

「だって見てたし。お前みたいだなぁ、とも思ったし？」


そう言って、短くなった煙草を灰皿に押し当てた。


「うさぎって、寂しいと死んじゃうって言うだろ？」

「うん」

「あの時のお前の目、そんな感じだったから」

「…………」


確かに、そうだった。



「……俺からも聞いていい？」

新しい煙草に火を点けながら言った。


「何？」

「お前、そんなんでどうしてあんなトコ立ってたんだ？」

「そんなん……って」


言いたいことは、まぁ……わかるけど。



「何かを変えたかったの。だからピアス開けたのもあの日だし」

「そういうのって大事にするもんなんじゃねぇの？　女って。俺じゃなかったらヤられてたぞ？」

「……さっき自分でも言ってたじゃん。無理してたし、全部がどうでもいいって思ってたから」



「それって、親御さんが……」