「真央ー?」


「……今行く」


玄関に背を向けて、お皿を取り出した。

気にならないって言ったら嘘になるけど……圭吾は私を選んでくれたから。





「真央、手ぇ出して」

ケーキを食べ終わった時だった。


「え?」

いきなり言われて、思わずきょとんとしてしまう。


「いいから」

それに引き換え、圭吾はなんだか楽しそうだ。


何だかわからないけど、言われるままに差し出された手に乗せられたのは、小さなピンクの箱。


「?」

「開けてみ」

言われるままにリボンを解いて、中にあった小さな箱を開けると──……。



「……え」

立体的に交差した色違いの素材でクロスにデザインされた、少し太めの指輪がそこにあった。


「貸して」

私の手から指輪を取ると、右手を掴んだ。


「左は、また今度な」

そう言って圭吾は、右手の薬指にはめた。


「……ぴったり。どうして……」

指輪のサイズなんか教えてないのに、私の指にぴったりはまった。


「秘密……と言いたい所だけど、真央が寝てる間に測らせて頂きました」

圭吾は少し照れくさそうに鼻先を掻きながら白状した。