1日の終わりを告げる最後のチャイムが鳴り、眠っていたはずのゾンビ達がぞろぞろと起き始めた。


ったく、男子って学校に寝に来てるわけ?


なんて正当な意見を頭の中で思いながらも、鞄から取り出した小さな鏡に映る私の頬に、教科書のあと。


なんだ、私も寝てたんじゃん。


午前中よりも、少し温いような風が私の教科書のあとがついた頬を軽くなぞる。


「あー、今日も終わりー」


教室の天井目掛けて、腕を伸ばし大きな背伸びをしたのと同時に、いつもなら聞こえてこないはずの声が聞こえてきた。


「オイ、オイ、」


低音ボイスが、同じ言葉を何度も繰り返す。


しかし、私は何も聞こえてないように机の中の教科書達を鞄の中へと入れていく。


そんな私に次第に苛ついているのか、言葉がどんどん荒いで…。


「オイ、女!何シカトしてんだよ!」



ガタンと、激しく隣の机が倒されて、鼻息を荒くさせ私の前に現れた原田大樹。


「な、な、何よー!」



なんで私が、こんなに睨みつけられてるのよー。


もしかして、私に話しかけてた?


思わず、教科書が詰め込まれた鞄を盾にして私は、その横から顔を出す。