しまった。


しまったーー。と思っても後の祭りなわけで。


「千恵、あんたいつのまに転校生と仲良くなってたのよ?」


「千恵って、やんちゃな男がタイプだったのね。あー全然知らなかったなー」



二人は、目をギラギラと輝かせて私に次々と質問をぶつけてくる。


熱愛が発覚してしまった芸能人の気分ってこんな感じなんだろうか。


女の子ってのは、恋バナには凄いぐらいの興味を持つ。


私もその一人ではあるんだけど、改めて脅威を感じていた。


答えに困っていると、二人は私に近づいてくる。お互いの顔が接近していくにつれて余計に何も言えない状態が続いた。


神様に助けてと密かに願ってみると、教室の前のドアから誰も待っていないであろうアイツが現れた。


「コラー!早く席につけー!」


いつもなら、ウザイ存在の担任高木の登場に、二人は自分の席へと舌打ちをしながら戻って行った。


離れていく二人の想いとは逆に、私は胸に手をあてて小さく息を吐いた。


とりあえず、質問の嵐が去って一時の穏やかな時間が戻りホッと一息。