あの日から一週間が経った。


私の隣の席は、あれからずっと空席のままで寂しげに存在する。


「千恵、どうしたの?暗~い顔なんかしちゃってー」


甘い声で私の席の前に座り、私を心配する多香子と愛。


「おはようー、別に何もないよ」


派手系の化粧で見事にコーティングされた多香子と、黒縁メガネの似合う文科系の愛に、私はいつものように挨拶を交わした。


もちろん、あの時、逃げた二人には怒り済み。


朝からハイテンションの二人の声と表情を見ていると、一瞬隣の席の存在が頭から離れた。


「そういや、転校生って初日以来見てないよね?」


「そうだね。いきなり停学になっちゃったとか?」


頭から離れていっていたのに、再び私の元へと帰ってくる。


あの時の事を全く知らない二人だし仕方ないか…。


「あのさ…いいじゃん。大樹の話は、やめよう!」


無理に作った私の笑顔がぎこちなかったのか、二人はお互いの顔を見つめ合ってから、私の顔を怪しげに覗き込んで


「大樹って、呼び捨てで呼び合う仲になってるのはなんでかな~?」


多香子の何か企んでいるようなイヤらしい目つきの問いかけにドキっと心臓が跳ねた。