つもりだったのに、一瞬にして私の足は動きを止めた。


いや、右腕に感じる痛みに止められたと言った方が正しいかも。


「ちょっと、痛いじゃない!離してよー!」



「バカか?お前。俺から逃げるなんて、ありえねえーんだよ!」


力強くなのかは分からない、けど右腕がじんじんと痛くなってくる。


顔を見れば、不敵な笑みなんか浮かべて、余裕な表情。


何度も離してって言っても、全く通じない。


まるで外国人に日本語で伝えてるみたい。


「千恵、行くぞー」


私の腕を掴んだまま、転校生は廊下へと足を進めていく。


「ちょっと!勝手に決めないでよー!」


ジタバタと動き回ってみたものの、私の体力が奪われていくだけで、離れない転校生の手。


「暴れんじゃねぇよ。大人しくしろ!」


冷めた目で睨みつけられると、私の無駄な動きは一瞬にして止まってしまった。


誰か、助けて。


そんな小さな想いを胸にしまい込んだまま、どんどん転校生は進んでいく。