睨みつけられてるっていうのに、私の胸はドキっと静かに反応した。



「女!どうせ、今から暇だろ?俺が付き合ってやるよー」


自信満々で当たり前のように、そう私に上から話す奴。


その前に、この転校生に言わなければ……


「ちょっと、女って呼ぶの辞めてくれる?私にだって名前ってのがあるんだからー!」



盾にしていた鞄を机の上に置いて、勢いよく椅子を倒して立ち上がってしまった。


周りのクラスメート達は、見てみぬフリなんかしちゃって…


「千恵、じゃあー私達…先に帰るねー」


すでに前のドア側から半身出てる友人の多香子と愛。


私の言葉を待たずして、二人は私の視界から消えて廊下へと逃げるように走り去った。


ありえない。


目の前に立つ転校生に、皆は完全にビビりモード全開。


そんなのに狙われてる私はどうなるのよー!?


「はは。お前、千恵って言うんだな。オイ、千恵、今から俺に付き合え」


なんか、ムカつく。なんで呼び捨てで呼ばれなきゃいけないのよ?


「バカじゃない?なんで、私がアナタに付き合わなきゃいけないのよ!」


下を出すまではいかないけど、若干、足を震わしながら、私なりの反抗の言葉をめいっぱいぶつけて、鞄を掴み廊下に向かって走り出した。