パンパン!



手を二回叩き、目を閉じる。



そして、心の中で今年一年の健康だとか、安全だとか、あとはえらく自分勝手なお願いをつぶやく。




――二礼二拍一礼…だっけ?




などとにわかに覚えていたことを考えながら目を開け、隣にいる桜に目をやった。




桜は初詣にふさわしく、着物姿で、それがまたとても似合っていた。



髪もそれに合う髪型で、いつもの印象とは一味違い、女らしさがにじみ出ていた。



何をお願いしているのか分からないが、少し険しい表情で手を合わせている。



熱心に願うのは悪くないことだ。



………だが、




「………長くないか?」




欲張りとは知っているが、たくさん願えばたくさん叶うとゆうものではない。



それに、そろそろ後ろに並んでいる人の視線がキツくなっていた。




『お前らいつまでそうしている気だ?』




そんな風に目で訴えかけられていた。