桜は今日、二桁目ぐらいのため息をついた。



何で自分はこんなにため息ばかりついているのだろう、と疑問にさえ思えてきた。




――そもそも何で私が奴隷にマフラーなんか………


奴隷は奴隷らしく、汚れたみずほらしい格好をしてればいいのよ!



ご主人様の手編みのマフラー?



冗談じゃない!

百年早いわ!!!





などと心の中で叫びつつも、編んでいるのは自分。



奈津にせがまれたわけでもない。



だから、いくら叫んだところで、結局むなしくなるのは自分自身だった。




「はあ………」




桜は携帯を取り出すと、電話帳から奈津の番号を表示させた。



そして、発信ボタンを押そうかどうか五分くらい悩む。






………そして、桜は恐る恐る発信ボタンを押した。