彩芽は優しい笑みを浮かべると、タルト生地に切った果物やらクリームを流し込んだ。



そして、それを熱したオーブンに入れる。




「その気持ちは大事にしなさい。

他でもない、あなただけの気持ちよ。

恋…って、そういう感情が積み重なった先にあるものなんだがら…ね♪」


「……………」




桜は答えなかった。



正確には、答えられなかった。




今まで、恋愛相談なんて誰にもしたことなかった。



だから、こんな風に諭されたのは初めてだった。



それ故に、初めて知った自分の気持ちの意味、答え。



彩芽の言うとおり、恋愛初心者の桜には、彩芽の言葉には感嘆するしかなかった。




「私………」




桜は、胸の、心臓の辺りに手を当て、うつむいた。





――好き…なんだ………

あいつが………