「知ってるもなにも………



ああ、まずは自己紹介だね。

僕は姫川梓(ヒメカワ アズサ)。
桜の兄だ」



「ああ、桜のお兄さ………




のえええぇぇーーーっ!!?」



俺は目が飛び出るんじゃないかってくらいに目を見開いた。


そんな俺を見て、男………梓さんはクスクス笑い始めた。



「いや〜、話には聞いていたけれど、思った通り、君はおもしろい子のようだね」



「そ、そうですか?」



「うん、君が悪そうな男じゃなくて良かったよ」




梓さんはそう言うと、ニコッと微笑んだ。


それはどこからどうみても大人の男性の笑みだった。


多分、女性はこんな笑みを向けられたらいちころなんだろうな、なんてことを思った。