移動する車の中、俺は緊張のせいか頭が真っ白になっていた。


もちろん、桜は未だに爆睡中。



「………驚かせてすまなかったね」



男はニコッと微笑みながら口を開いた。



「あ、いえ…」



「桜と1日過ごしたのだから疲れただろうけど、少し話をしてもいいかな?」



「は、はい…。



………あれ?
桜を知ってるんですか?」



驚きだった。

まさか誘拐犯のような男が桜の知り合いだとは思わなかったからだ。