ユリちゃんは中学から、都心の伝統ある女子校に進んだ。
お父さんの希望が強かったそうだ。

ユリちゃん自身も、その学校に憧れていた。
親戚の上品なお姉様が通っている学校だったからだ。

特に受験勉強はしなかった。試験は簡単な面接と、性格テストみたいなのだけだった。

だから合格しても、特に感慨はなかった。

その学校に入るためには、相当強力なコネが必要だと知ったのは、ずいぶん後になってからだそうだ。



中学時代をただボンヤリ過ごしたユリちゃんは、高校へ上がって間もなく、自分がひどく場違いだと思い始めた。

クラスメートはあくまで上品に振る舞いながら、ユリちゃんのことを拒絶し、口元に笑みを浮かべながら、冷たい視線を向けた。