そして秘密の時間(とき)を共に

「なんもしなくていいよ」

そんなセリフと同時に、私の目の前にコーヒーのいい香りが漂った。

涼が私好みのミルクたっぷりのカフェ・オレを入れてくれた。



「ありがとう」

私がコーヒーカップを受け取ると、涼は私の向かい側に座った。

「せっかく、今日も夕食作れると思ったのに」

思わずコーヒーカップを見ながら呟くと。



「今日は手作り弁当貰ったから、十分だよ。それに……」

涼はそう言ったまま黙り込んだ。