そして秘密の時間(とき)を共に

「おまえ、途中で足痛めただろ?」

回りに聞こえないように、ボソッと小声で沖野先生は言った。

「えっ?」

思わず驚いてそっちを見ると、苦笑いしている沖野先生。

「俺が気付かないとでも思ったのかよ」

……そうだよね、分かるよね。



「ちょっとだけ捻ったみたいだけど明日から部活も休みだし、捻挫はしてないと思うので、後でスプレーしてテーピングしておきます」

私はそう言って頭を下げて、その場を離れようとした。

その時。