「あっそう言えば」 まだ心配そうな顔をしている涼に、わざと明るくそう言うと、涼はやっと私を抱き締めていた手を緩めた。 私は自分のバッグからお弁当を1つ取り出した。 「はい、涼の分のお弁当」 「えっ?」 「どうせ今日もコンビニ弁当、買いに行くつもりだったんでしょ? 平日は職員室で手作り弁当広げられないだろうけど、今日なら大丈夫かなぁ、と思って作ってきたの」 「えっ、マジ?」 涼は嬉しそうに受け取ってくれた。