涼は台所のイスに無造作に掛けてあった、2つのエプロンを手に取った。

そして、1つを私に渡した。



「伊藤が言ってた『ペアのエプロンで台所』っての、やってみようぜ」

うっ。

「は、恥ずかしくない?」

思わず私がそう言うと、涼は自分の黄色いエプロンを身に付けながら笑った。



「いいじゃん。どうせ俺らだけで、誰も見てる訳じゃねぇーんだし」

涼はそう言ってから、鼻歌混じりに冷蔵庫を開けた。



涼、楽しそう。

ま、いいか。確かに、2人だけで、誰も見てる訳じゃないし。