片手を伸ばした涼が、まず私の髪をワシャワシャと乱暴に掻き乱した。

その後、私の頬に触れると顔をしかめて、急に私の手首を掴んで歩き出した。



階段を昇って部屋の前まで行き、鍵を開けると涼は傘を通路にそのまま放置し、慌てて中に私を引っ張り入れて、手首を離してお風呂場の方へ消えた。

私はボーっとしながらも、通路の傘が気になり、通路に戻って傘を閉じて中に入れた。



バサッ



「うわっ」

急に視界が何かで覆われて、声を上げた。