そして秘密の時間(とき)を共に

「これ位の事で、ご褒美に負けてどうするんだよ。強くなるんだろ?」

涼がクスッと笑って言った。



んー。



「涼。ご褒美に『勝ち負け』って無いと思うよ? それに『強くなる』の意味合いも違うし……ケンカじゃないんだから」

私がそう言うと、涼はいつもの優しい笑顔になった。



「そんなツッコミが言えるなら、もう大丈夫だな」

あっ。

「ほら、帰るぞ」

「うん」

私は涼の言葉に返事をして、慌ててシートベルトを締めた。