そして秘密の時間(とき)を共に

涼は無言でフワッと優しく、私を腕の中に包み込んだ。



「当たり前だろ? おまえが『イヤだ』って言っても、離れないから覚悟してろよ? それに……俺の方こそ、ありがとう」



えっ?

私、何も涼にお礼を言われるような事、していないのに。



「本当なら、もっとおまえに普通の恋人同士のようなデートとかしてあげたいのに……こんなとこしか連れて来られなくて……。それなのに、そんな事言ってくれて……ありがとうな」

私は涼の腕の中で、首を左右に振った。