そして秘密の時間(とき)を共に

「あいつの母親が学生時代に演劇やってて、その関係で俺と僚二が幼い頃、演劇の舞台公演に連れて行ってもらった事があってさ……それが2人共、初めての観劇だったんだよ」

「えっ? そうなの? そんな話、聞いた事なかった」

私がそう言うと、涼はクスッと笑った。



「あいつ、舞台が終わった後、さっきの美雪みたいに目をキラキラさせて、ボーっとして中々立ち上がらなかったんだ。きっと今のおまえと、同じ事を感じていたんだと思う」



涼がそう言った時、丁度フロアへ出た。