そして秘密の時間(とき)を共に

「何?」

「えっ?」

「今、涼、笑ったけど」

通路を歩きながら訊くと、ほんの一瞬、涼は真顔になったけど、すぐに優しい笑顔になった。



そして。



「僚二を思い出していた」



ビクッ

涼から出た言葉に、思わず足が止まった。



避けていた訳ではないけど、付き合い始めてから、涼の口から僚二の事を聞くのは初めてだったから。