何気なくお弁当のたまご焼きを一口かじると、充琉が訊いてきた。

「なぁ、この弁当っておばさんが作ってんの?」


「そうだよ~。私には朝からお弁当作ってるヒマなんてないもん」


「ふぅ~ん。って事は…」


「???」


「たまご焼き、いただき!」


「あ゛~~~!!」


「いいじゃん、俺、おばさんのたまご焼き、大好き♪」

「はぁ――――っ!?」(怒)


前で見ていた美也サマが
「俺も食ってみたいな」と呟いた。

「わりぃ、俺、もう食っちゃったから。
欲しけりゃこいつの貰え!」

「エエエ―――!?」

充琉ったら
私の食べ掛けのたまご焼きを
美也サマの口に放り込んじゃった!!


「うまっ!
しかも深紅ちゃんと間接キス♪」



有り得ない。
マジ有り得ない!!

恥ずかしいし――。
照れるし――。

「お前、ナニそんなに慌ててんだよ?」と
すかさずチェックを入れてくる充琉に

「慌ててナイ。全然 慌ててナイ」
思いっきり首をブンブンと横に振った。