優しく、一歩の背中をさする。


「私…バイト辞めるよ」


「…へっ?」


私の言葉に、一歩は目を丸くして顔を上げる。


「…沢渡くんとは何でもないけど。今日ちょっと心が揺らいだのは事実だから…。不安な時にまた優しくされると…分かんない」


一歩は私に笑いかけると、そっと腰に手を回す。


「アイツ、いいヤツそうだもんな?惹かれるのも…わかるわ」


「…え?」


「さっき、すれ違いざまに…話しかけられた」


う…うそっ。