田舎の王子様~照れ屋な俺様

ロビーに行くと、添乗員さんはやっぱりフロントの近くでウロウロしていた。


「いたよー。彼、ずっとスーツだよね。大変だね」


「うん。でもあれがまたかっこいいんだよね…」


二人でひそひそ話す。


そのうち、添乗員さんは電話を終え、フロント脇に備え付けられたツアーデスク前に腰を下ろす。


そこを見計らって、私たちは近づいた。


「大迫(おおさこ)さん!」


そう…。彼の名前は大迫さん。


今まで添乗員さんって呼んでたけど、さっきしおりで名前を確認した。