田舎の王子様~照れ屋な俺様

それは、目を閉じても、小玉くんの近くにいるんだって分かるから。


小玉くんは、残念そうに私から少し離れると、私の方をチラッと見て、そおっと話しかけてくる。


「あんな…、お願いあるんやけど」


「お願い?」


何だろ。お弁当の包みを開けながら、小玉くんを見ると私のお弁当を指差していた。


「おかず交換せ~へん?」


「ぷっ、小玉くん…女の子みたいな事言うんだね。あんまり大したおかず入ってないけど、もちろんいいよ」


さっきまでの緊張が嘘のように解きほぐされていく。