「何かあったの…?」


うつむいたまま何も言わない奈々ちゃんが心配になってそう声をかけた。


ぐっと手を握りしめて顔を上げた奈々ちゃんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。


「大丈夫。何もないよ?
ごめんね、用事があって今、少し急いでるの。」


そう言って奈々ちゃんは無理矢理笑って、私たちから逃げるように走り去っていった。