その日の夜。私はもう行かないって決めたのに、気づけばまた中庭に向かっていた。



ちょっとバラを見たら帰ろう。



そう思って花壇へ向かった私の目に映ったのは、私が会いたくて会いたくて仕方がなかった人の姿だった…



「こんばんは」



私に気づき、にっこりと笑う。



その笑顔が好き…



「王子様…」



泣きそうになるのを堪えながら、私はゆっくり王子様に近づく。



ちょうど花壇の前まで行った時。王子様の口がゆっくりと開いた…



「俺…姫と結婚するから。今日、正式に父に話してきたんだ」



知ってるよ…



「この前はごめんね。俺…彼女の事きっと好きになる」

「おめでとうございます…」



私の前でお姫様の話はしないで。



ギュッと手を握りしめた。



気持ちを伝えたい…



もう我慢できないよ。