「蓮さん、朝ご飯はどうされますか?」


自分の身支度を整え、彼のいる書斎のドアを開ける。


他人を自分の空間に入れたくない蓮は、必要以上の使用人を雇っていない。


そのため、もともと食が細く、家にほとんどいない蓮は食事を作る者はいなかったらしい。


大きな冷蔵庫には、数本のビールしか入っていないのを見た時には眩暈を覚えた。


「あぁ、俺は食べないから。綾香も好きにすればいい」


「・・・はい」


食べないことは聞かされていた。


だから、作っても無駄だということはわかっていたけど、歩み寄るきっかけになればいいと思った。